常盤音ライトとの相談


深夜、トイレに行くために起きた。
ふと、あまり聞き覚えのない男性の声が聞こえて、その部屋を覗いた。風さんだった。珍しい。珍しい?・・・なんで?
疑問に思っていると、暁さんと目が合い、下の階を差した。そこで話そう、と言う事だろう。
僕は紅茶を飲むついでに、リビングへ。
(゚ω゚)「お、うちももろていい?それ。」
いつのまにやら後ろにいた。「どうぞ」と、2つ目の紅茶を差し出した。
(゚ω゚)「ありがとうな。んなら、こっちのソファに座って話そか。紅茶でも飲みながらな」
ちょうどいい機会なので、疑問をぶつけることにした。
僕が前に居た場所はまるで図書館だった。そこでシャドウと、誰かと、本を読む毎日。それが・・・いつの間にかここへ来ていた。
別に嫌とかではない。ただ不思議。そう、まるで起承転結の承が抜け落ちたまま転へ進んでいるような。
「何か・・・うまく言えないのですが、何かがおかしくないでしょうか?」
(;゚ω゚)「な、何かて?」
「あれ?この本前も読んだのに?と言うようなデジャビュ、と言うんでしょうか?そんな違和感が・・・」
(゚ω゚)「あー、この世界ループしとるからやねそれ」
「え?」
(゚ω゚)「あ」
「今なんて・・・」
(゚ω゚)「・・・」
(;゚ω゚)「今のなし」
「・・・・・・」
薄々、そんな気はしていたけども、
でもそれは、承の欠落に関しては意味がなさそう。
ん?暁さんが周りを気にしている。いや、誰かを警戒している?
そう言えば、僕がリビングに座ってから、静かだ。誰かトイレに起きて来たらわかると思うけども。単純に誰も尿意はないという事?
(;゚ω゚)「あいつはおらんようやな」
「え?なんて言いました?」
(゚ω゚)「世界の事を気にするんやったら気にせんで良し」
「・・・わかりました、じゃあ教えてくれるんですね」
(゚ω゚)「・・・花になってしまうかは別やけどもな」
「花?」
(;゚ω゚)「あかんこれ怒られる」
「??」
怒られる?誰に。
そう言えば、ここにきてからあまり怒られたことがない。
なんて言うんだろう、ちょっと怒られたことならあるけどそんなに厳しくは・・・。
昔ぼくをきつく叱ってくれた人は誰だっけ。そして、どうしてそんなにきつく叱られたんだろう。
カタン、と言う音にハッとする。暁さんが紅茶を飲んで、机に置いた音。
(゚ω゚)「ま、まあ。言うてしまうとこの世界はループしとるんや。安全な場所だけをな」
「安全な場所?」
(;゚ω゚)「せ、せや」
「どうしてループしているのですか?」
(゚ω゚)「・・・あまり死的な話はしたくない。今よりもっと仲良くなりたい人とはなおさらに、な」
「詩的?僕はそう言うの好きですよ?」
(;゚ω゚)「まじでか」
「? はい」
(;゚ω゚)「えー。じゃあ・・・」
その時、突然視界にノイズが走った。
思わず目をつむってしまい、頭を軽く振り、目をこすった。
顔をあげると、見知らぬ男性?女性?わからないけれど、暁さんではない人物がいた。
「・・・誰、ですか?」
((  ))『この世界の事が知りたいんだろう?』
あ、アイちゃんもいた。膝の上にのっているのかな?机でちょっと見えないや。
「・・・はい」
((  ))『何故?』
「・・・個人的な違和感の解消、それと・・・。忘れている、誰かと何かを思い出したいからです」
僕の一言で、謎の人は少し悲しそうな顔をしている。
ここを追及するのには時間がかかる?ならループから追求しよう。
「えっと、安全な場所をループしている、とは?あ、重い話平気ですので」
((  ))『・・・とある日に、死ぬ人物がいる』
「その死を回避するためにループを?」
((  ))『いや、死の運命から抜け出せるまで、絶対に死なない日に閉じ込めるようにループさせている』
「ループと言う名の安全な檻、ですか」
((  ))『そう、例えば死ぬ日を12月31日としよう』
「はい」
((  ))『その日が来るまでを延々とループされる、つまり、前日である12月30日が来たら、1月1日までリセットして、また12月30日が来たら1月1日までリセットする。それがこの世界のループだ』
「ふむふむ」
((  ))『ただループしているだけじゃない。その日何故死んだか、つまりは死因からそれに関連した死亡する可能性がある要因を排除していっている』
「安全なその日を迎えるために、ですか?」
((  ))『そうだ。やはり君はかしこいね』
その言葉に、何か聞き覚えがあった。シャドウじゃない、別の、別の誰か、大切な人に言われた・・・気がする。
((  ))『大丈夫かい?』
「ああ、はい」
少し呆けていたみたい。今は話を聞かなくちゃ。
「続けてください」
((  ))『わかった』
((  ))『何度か繰り返すうちにわかったのは、大きな絶望がカギになっているという事』
((  ))『では問題だ。絶望を消すためにはどうすればいい?』
「・・・幸せで、消す?」
((  ))『そう、その通りだ』
幸せ。しあ、わせ・・・悲しみ。
どうして、記憶の中のシャドウは泣いているの?
((  ))『絶望を消すための幸せ。簡単に言えばこの家はそのためだ』
「・・・そのために、僕らがいるんですか?掬音さん達とか」
((  ))『・・・そうだ。嫌、かい?』

「・・・同じことの繰り返しは、飽きてしまうかなと。そして、その飽きが今の僕の原因かもしれない」
((  ))『やはり、飽きか・・・』
始めて見る、謎の人の困ったような表情。
さっきまでは無表情だったから、こんな、ちゃんと人ぽい顔もするんだなって、ちょっと安心。
((  ))『話したついでに聞きたいんだが、その飽きを解消するためにはどうすればいいかな?』
((  ))『絶望を消すため、と、この世界を少し簡略化しすぎたようだ・・・』
「えっと、僕の要望交じりでもいいんでしょうか?」
((  ))『いいよ』
「あと、あなたはこの世界を変えられる?ならば、地形も変えられるのですか?」
((  ))『多少ならね』
「では・・・本屋さんがほしいです」
((  ))『本屋さん』
「はい。商店街にある本屋さん、もいいですね。あ、あとは学校。シャドウと・・・学校に行きたいですね」
((  ))『学校!』
なんだろう、すごく驚いているように見える。
・・・学校と言う発想が出てこない。って事は、その死ぬ人は学校に行かなくてもいい、大人?もしくはこの人が気付いていなかっただけ?
((  ))『ああ、盲点だった・・・』
困惑と言うか焦り顔。どんどんと人間らしい表情になっていく。
((  ))『学校、そういえばあの子がいる。あの子に連絡を取るか・・・』
「他にも人がいるんですか?」
((  ))『・・・種は、種を産むんだ』
「?」
((  ))『いや、欠け落ちた種が芽吹いた、のほうがいいか』
「よくわからりません」
((  ))『簡単に言えば、ループする世界はいくつもある』
「種を分けた世界?あ、でも芽吹いたって事は・・・それらすべて同じ花が咲くとは限らない?って事で、例えばすごく弱弱しい暁さんがいる世界もあるって事?」
((  ))『素晴らしい・・・まさにその通りだ』
理由が何であれ、ほめられるとちょっと嬉しい。
((  ))『けれど間引きも必要だったり、自然に枯れる事もある』
「その間引きされるのは関係ないもの?」
((  ))『そうだったり、とても危険なものだったり、かな』
「なるほど・・・」
((  ))『こちらは簡単に言えば世界を繫げる事が出来る。学校が中心の世界、まあ学園編ってやつだね。そんな世界に1人、根がいる。だからその世界を繫げてしまうか』
「根?」
((  ))『ああ、まあ、絶望を消すための幸せに必要な、主要人物だと思ってくれ』
「花、は?先ほど暁さんが言ってましたが」
((  ))『・・・ループや複数世界に気付き、ループの記憶を引き継ぐ、重要人物だと思ってくれ』
「・・・危険人物、ではないのですか?」
((  ))『・・・人によっては、そうともいう』
「種、は?」
((  ))『この世界における核。その人物の行動、感情、言動。それらによってほかの人物では変わらなかった何かが大きく動いてしまう人物だ』
「ふむ・・・。では、僕は花にはなれますか?」
((  ))『・・・・・・』
謎の人は僕の顔をじっと見る。
ふと、ビリッと頬に電気のような痛みが走った。
((  ))『君はただ察しがいいだけなようだ。花にはなれない、根だ』
「そう・・・ですか」
((  ))『なりたかった、かい?』
「いえ。大切な何かを忘れているような気がして、もしそれを思い出せるなら、花になりたいなって思っただけで・・・」
((  ))『・・・・・・・』
((  ))『その何かについては、その日を乗り越えた時に戻してあげるよ。ごめんね』
「!」
失っていたのはやっぱりこの人がきっかけだったこと、そして謝ってくれたこと。僕はその2つに驚いた。
「・・・質問、ですが」
((  ))『なんだい?』
「例えば、、9月20日に死んでしまったら、どうするのですか?また、例えば・・・僕が死んだら、リセットされループするのですか?」
((  ))『・・・9月20日に死んでしまったら、要員を排除するまで1月1日~9月19日をループさせる』
((  ))『君が死んでも、リセットする。君の死が絶望になるかもしれないからね』
「じゃあ。・・・じゃあ、その日にその人が死なず、ループが終わるまで僕らは死なないってことですか?」
((  ))『正確には、突発的な死があればリセットし、ループする。だね』
「では、もしも僕が病気になってその人が特に絶望をする事もなく、僕の死を受け入れられたら・・・」
((  ))『君は死ぬね』
「・・・・・・・」
死。僕の死に関してじゃない。何か、別の死に対して、忘れていた感情が溢れてしまいそうな・・・。
((  ))『でも、その人は馬鹿なんだ』
「え?」
((  ))『絶望を消すための幸せとしてよんだ君たち全員の幸せを願っている。だから、もし君が死んだならその人から言うだろう。「リセットしてほしい」と。』

「・・・その人は、知っているんですね」
((  ))『ああ』
「この物語に、終わりはあるのですか?」
((  ))『おおよその目安はつけている。その日を回避してから+1年。それが過ぎればもう大丈夫だろう、と』
「最高記録ってあります?」
((  ))『・・・+3日』
「あ、でも回避したこともあっ、うっ!」
急に頭が痛くなってきた。視界が、回るようで。どうして急にこんな事に?
((  ))『こちらと話しすぎてしまったようだ。それか、思い出しすぎてしまったか』
「・・・せめて、そばにいたあの人の名前だけでも、思い出し」
((  ))『ごめんね、もう時間だ。君が壊れてしまう前にリセットするよ』
大きく青い手が現れ、僕の頭を鷲掴みに。したと思ったら、体がしびれるような感覚。
僕の意識は消えて行く。
もし、もし次に目が覚めていたら、うっすらとでもいい、覚えていた、ら・・・小説を書いて・・・残して・・・見よ・・・う。

 

 

 

 

これはまだこちらが受肉する前の話。

ああ、もうすぐ厄介な花が動くだろう。